池松さんについてのコメント集

池松君は独特のムードを持っていて、一体何歳くらいなのかよくわからない。それは『横道世之介』で老け役をやっていたからという理由ではなく、高校生もやるのに老成した役もできる、幅が広いんですよ。これは僕の想像でしかないけれど、その幅の広さの奥にある彼の深さに興味がある。(吉田大八監督)


池松君は、やればやるほど分からない(笑)。こういう風に話したらこういう結果が得られるというパターンが絶対ないんですよ。別に反抗的という訳ではないんですが、「こうやって」と言って、その通りにやる人じゃないんです。きっと彼の中で無意識に1回1回、プログラムを書き換えていると思うんですよね。ハッキング防止のワンタイムパスワードみたいな。毎回、決して同じ演技にならないところがフレッシュで本当に面白い役者です。(吉田大八監督)

今回、光太は梨花の変化の当事者となる重要な役なので、彼にどうしても来て欲しかった。純粋で、色気があって、残酷な光太を、今の池松君で見たかったんです。(吉田大八監督)

味方につけたらこれだけ心強い俳優はいない。(吉田大八監督/日刊スポーツ映画大賞授賞式)

(同じ)監督や演出家さんと何回もやったりするのは、たぶん単純に池松壮亮が、考え方とかがスタッフに近いから一緒にやりたくなる(んじゃないか) 俳優さん”と“池松壮亮”が絶対的に違うと思うところがあって、(俳優さんは)自分がどう見えるか、この役がどう見えるかが無意識的にまず一番にあってコミュニケーションをとったりするが、(壮亮は)そういう所には全くいなくて、この作品がどうあるべきかを(一番に考える) (松居大悟監督/「松の間」六の間

彼はとにかくこちらのやりたいことをいち早く咀嚼して、叶えてくれる心強い存在です。言われたことを自分なりに考えてやるのが役者だという揺るぎない信念を持っているので、いい意味で演技に対する欲がないんですよ。作品をよくしたいという思いが他の何よりも強くて、自分が目立ちたいとかこういう役を演じたいとか、役者のエゴが一切ない。そこが多くのクリエイターから好かれる理由だと思いますね。それは共演者にとっても同じで、池松くんは自分を殺してでも何より相手のことを考えた芝居をするから、彼といると自然と共演者も引き立ってくる。(三浦大輔監督)

池松くんの演技はいつも、ひとつの感情を示すものではなくて、善も悪もない交ぜになった、紋切り型ではない、奥深い表現を見せてくれる。だから彼が作る人間像って、いつも絶対に浅くないんです。 (三浦大輔監督)

彼は本当に素晴らしい役者で、森井輝プロデューサーも『僕が出会ったキャストの中で最高の宝だ』と絶賛しています。今となっては、百舌役は彼以外に考えられないですね。倉木役の西島さんは常に全力投球してくれる俳優さんですが、百舌はそれに対抗する存在だから、並外れた熱量を持って演じなければならない。その役割をきっちり果たしているのがすごいと思います。

池松くんはもともと運動神経が良いからアクションの勘もあるし、佇まいが絵になるので撮っていてすごく楽しい。あの女装姿も暗いところで見たら、けっこうかわいかったでしょう?(笑)。今回、顔合わせしたときから、彼が内に秘めたものを感じていましたが、撮影を始めてみると、その演技は期待以上でしたSeason2でも池松くんはかなりハードなアクションをやり遂げてくれたので、ぜひ注目して見てほしいですね (羽住英一郎監督/ドキュメント・チームMOZU) 

(『この世で俺/僕だけ』)ちょうど池松くんがセーブしていた仕事を再開しようとしていた、まさにその時期。一度屈伸して跳躍するその瞬間のエネルギーを、作品に刻めたと思います。そして池松くんは、今後何度も跳躍していくのだろうとも思います。生涯をかけて付き合っていきたい俳優です。(月川翔監督)

池松くんは本物です。演出家としての見立てですが、すごくクールなんだけれど、メラメラしたものがある。それが割と目に出るので、アップとか寄りで撮るとドキッとするんです。(石井裕也監督)

とにかく本番でびっくりさせられる。本人は淡々となにも考えてない体だが、心の中は絶対暴れ回っている。それが噴出する瞬間をとらえたい。(石井裕也監督)

そう言う意味でも、はじめのほうに言った「受けの芝居」というのが重要になる。一旦考えた理屈は置いておいて、すべてを相手に任せる。相手に集中して、どんだけ受けられるかというのをやってみる。そういう意味で言うと、池松さんなんて本当に良いなと思う。無理して理屈で考えようとしない。もちろん、彼なりのプランはあるんだけれども、あくまで市川さんがどう出てくるかが重要で、それは本番にならないとわからない。だから池松くんにはプランもあるけど、ぶっつけ本番でいいやという度胸もあるし、その時、どう自分が感じるかだと、待つことができる。

池松さんは相手が「立て」ばいいんだと良く言います。女優さんが良く見えればいいとか。そこだと思うんですよね。多くのダメな俳優は「俺が」「俺が」となる。そのたびに、僕は、「お前はいいんだ。お前はただ他人の話を聞け」と言うんです。サーブじゃなくてレシーブに集中しろと。(安藤尋監督/映画監督による俳優のための実戦的ワークショップ

荒井晴彦さん:池松壮亮は、日芸の監督コースを出てて、監督が安藤尋で脚本が俺ならやりたいと言ってくれて。賢い若手が出てきたなあと、うれしかった。
成田尚哉さん:そういう意味では池松君の拘りや情熱に助けられたというのはあります。何回か話が流れた時も、彼がどうしてもやりたいと言ってくれたから、成立させることができた。現場に入っても自分じゃなくて、市川さんがよくなればいい、と言い続けていたんですよ。
安藤尋監督:「市川さんに勝ってもらわなければ困る」と。
荒井晴彦さん:菅田将暉とか染谷将太もそうだけど、やっとそういう若い役者が出てきたね。
成田尚哉さん:メジャーでもマイナーでもOK、事務所だけの方針で動いていない、そんな役者が出てきたのは嬉しいですよね。
(安藤尋さん×荒井晴彦さん×成田尚哉プロデューサー/映画芸術448「海を感じる時」対談) 

荒井(晴彦)さんにはよくぞ30年待ってくれましたとお礼を述べましたけど、池松さんのような繊細な俳優さんが出てくるのに30年かかったとも言えます。(『海を感じる時』原作者:中沢けいさん)

池松さんは作品世界に自然と溶け込み、時には、作品を壊すことなくその世界から飛び出して、見ている側の現実世界にまで迫ってくるほどのリアリティを感じさせることがあります。それはきっと彼に嘘がないからです。しかも、それをさまざまな役柄で感じさせてくれるところがすごいところだと思います。(『ぼくたちの家族』永井拓郎プロデューサー)

内面に間違いなく狂気と情熱、そして色気を持っているけれども、それを冷静にかつ自然に、視線1つで鋭く表現できる稀有な役者さんだと思います。また、映画のために自分が何ができるかということしか考えてないし、作品のために100%貢献してくれる。(『紙の月』池田プロデューサー)

撮影が始まって早い段階から、「アクションはどんどん伸びていくし、作品に対する姿勢も素晴らしい。すごい俳優だ」という話を羽住監督やスタッフからたびたび聞いていました。僕自身も、会うたびに彼がどんどん大きくなっているように感じます。次々にいい現場を踏んで、いい演技をしているんだろうなって思いますね。(西島秀俊さん)

新谷を演じた池松くんも、一番過酷なことに向かっていく姿にすごい俳優だなと感じるものがありました。1で、池松くんと吉田鋼太郎さんが殺し合うシーンは、ドラマ史に残るアクションだと個人的に思っています。 (西島秀俊さん) 

――他のキャストとの共演で印象に残っていることを教えてください 
西島さん「やっぱり、新谷役の池松壮亮くんはすごい。彼にとってはずっと過酷な撮影が続いていると思うんですが、パワーがまったく落ちない」 
香川さん「彼もまた百舌(モズ)という役にピッタリだったね。ちょっと守ってあげたくなるような佇まいでありつつ、実はとても強いという二面性も出せていて」 
西島さん「池松くんは確実に香川さんから影響を受けていますよ。アクションやっていると止められない。押さえつけるときも本気でやらないと無理ですもん」 
香川さん「そして、こっちが押さえ込んでいるときに、勝手に頭をガンガン床に打ち付けるから」 
西島さん「僕たちはそんなひどいことしてないのに。まるでこちらが必要以上に痛めつけているみたい(笑)」 (西島秀俊さん+香川照之さん+真木よう子さんスペシャル対談

寒くなってきた頃の北九州ロケで、彼が演じる新谷が水責めにあうシーンがあったんですが、もう途中から震えが止まらなくなって顔が真っ白になってきて。あれをよく乗り切ったなって。芝居もストイックだし、アクションも的確。すごい集中力でしたね。彼は自分を追い込んでいって演技に変換していくというタイプの役者だと思ったので、こちらもどんどんやってやろうっていう気になりました。(吉田鋼太郎さん)

壮亮、おめでとうございます。狂気と、若いにも関わらず、すごく深い悲しみに満ちた殺人鬼の演技だったと思います。名誉ある賞に相応しい素晴らしい演技だったと、近くで見て確信しております。本当に、おめでとうございます。 (吉田鋼太郎さん/エランドール賞授賞式)

池松くんが不思議なのは、普段一緒にしゃべってるときとスクリーンの中にいるときのテンションが劇的に違うわけじゃないのに、スクリーンの中では確実に作品の世界に存在している人になっているところ。(マキタスポーツさん)

「星眼」と「石眼」っていうのがあって、池松くんは両方持ってるなって思ったんです。本質的にキラキラを持ってるんだけど、どこかおっかないなって思うところもあって。役者で、その若さで両方持ってるのが凄いなって。去年から今年にかけて、いろいろな作品に出演させていただきましたけど、池松くんみたいなタイプの役者ってあんまりいないんだなって思いましたね。(マキタスポーツさん)

裸でも何でも挑戦的な役を演じたときに、見る側に「痛い」とか「無理してる」って感じさせちゃったらダメなのよ。底知れなさみたいなものがないと、ファンタジーにもリアルにもならない。そういう底知れなさが、池松くんには絶対的に備わってる。(マキタスポーツさん)

この間も池松壮亮くんとか高良健吾くんと話していたんですけど、僕は彼らの世代ってすごくたくましいなと思っていて。メジャーだけを目指しているわけではないし、あえてスターになろうともしていないんです。(斎藤工さん/CUT 7月号)

板谷由夏さん「(池松君との仕事は)お母さん演った。なんかこうわくわくするよね、彼がどういう風になっていくのか…」
斎藤工さん「する!本番の池松壮亮ってやばいんですよね。でも、過剰じゃないですよね」 (WOWOW 映画工房#191)

斎藤工さん「全部バレてる気しない?壮亮には。こっち側が。全部見えてると思う。だから、背伸びする意味がないのがわかるというか」 
板谷由夏さん「中身は多分老人。仙人みたいな。どうしてそんなにあなた成熟してるの?って感じ(笑)」 (WOWOW 映画工房#191WEB版

池松くんは天才。人間と子犬の中間のような存在だね。(リリー・フランキーさん)

空気感ですね。お芝居をただのお芝居だと捉えず、お芝居=生きものだと思っている。どんな役でも、主演であってもそうでなくても、生きた芝居で作品に挑む壮亮の姿勢が好きなんです。それに、壮亮の何かに抗っているような感じが好きなんですよね。自分に嘘をつかずに取り組んでいる姿勢は間近で見ていて、見習う部分でもあったし、刺激にもなりました。単純にすごいなと思いました。(妻夫木聡さん)

池松さんの目がすごい好きなんですよ。独特というか、深い感じが。どこか闇を抱えているような瞳っていうか。もっと近くで見たくなるような感じがするんですよね。(松坂桃李さん/アカデミーナイトQ)

池松壮亮という俳優がいるんですけど、あの人とまた共演するのが一番のモチベーションです。初映画『行け!男子高校演劇部』で一緒だったんです。多分あの人と会っていなかったらもう役者をやってない。壮亮君には言わないけど。でもそう思う。生まれて初めて本当に人を尊敬した。親父と兄貴はさておき。親類以外の人で、理屈じゃない所でスゲェって思わされちゃったから。当時、俺が17、8歳で、池松君が20歳ぐらいで。20歳でこんな人いるんだって思ったら、じゃあどれだけこの世界は面白い人がいるんだろうと思ったら楽しくなって。(稲葉友さん)

特にこの1年で、池松壮亮を取り巻く“周囲”は大きく変わったが、相も変わらず彼は彼なりの誠実さで人間を演じている。ただただ本質を見出そうとする、真髄に触れようとする彼の芝居に、時代がようやく追いついて来たのかもしれない。(プラスアクト)

2014年は、池松壮亮イヤーである。(略)透徹したまなざしから時折こぼれる、母性本能をくすぐる少年っぽさ。玉石混淆の映画界で、奇跡的なアベレージの高さを誇るフィルモグラフィからも相反する要素を同時に表現し得る池松壮亮という役者のユニークさが、まばゆく浮かぶ。(キネマ旬報)

池松くんは今年すごかったの。賞とかとってますけど。『MOZU』っていうTBSのドラマで女装した殺人マシーンの役をやってて。MOZUっていう役名なんですよね。ドラマのタイトルになっている。すっごいんですよ。全編、アクションが。もうほとんど喋らないんですけど。池松くんって暗いんですよ。基本的に暗い少年なんだけど、バババババッ!っとこう、アクションはするわ、SEXはするわというね。(町山智浩さん)

助演とは単なる脇役ではない。主演をいかに助けたかで判断したい。今回の2人(池松さん&小林聡美さん)は妻夫木(ぼくたちの家族)と宮沢(紙の月)の人物像を際立たせる役割を完璧に果たした。(石飛徳樹さん/キネマ旬報個人賞選評より)

一四年の映画界で、もっとも活躍した俳優である。出演作品は、全部で七本。数がすべてではないが、彼の場合は数が質を保証した。「紙の月」では、宮沢りえに濡れ場シーンの手練手管を指導したとおぼしい。門脇麦の声を大きくさせた乱交シーン満載の「愛の渦」や、市川由衣をヒイヒイ言わせた「海を感じる時」があったからだろう。あの童顔で、恐るべき業師と言うべきか。

というようなことを、私は受け狙いで、面白おかしく言っているのではない。女優との愛欲、濡れ場、ベッドシーンなどの演技をこなせなければ、男優の価値はたいしたものではないと、常日頃考えているからに他ならない。だから、池松の今は、とても面白い。これほど女優と濡れ場を演じて、様になる若手俳優がいたか。もちろん、過去にはいたのだが、今は昔。生まれるのが、遅すぎたのか。否、これから、もっとやってくれる。その期待込みだ。(大高宏雄さん/14年ファイト・シネ大賞二位:池松壮亮/キネマ旬報2015年1月下旬号)

池松壮亮か佐藤二朗が出てくるだけでその映画が好きになれる。(切通理作さん)

早くから映画の世界、そして俳優として課せられた役割を知り抜いた人間が、削ぎ落した上に削ぎ落した表現に挑んでいる。ここには決めゼリフもなければ、人物と人物のいかにも演技らしいぶつかり合いも、存在しない。池松壮亮という俳優が、どんな役柄を演じても必ず見せる「醒めた情熱」の核になるものが、この短編にはあるような気が、私にはしたのである。(切通理作さんメールマガジン「映画の友よ」Vol.037<池松壮亮の監督作品を見た>)

俳優の池松くんの初監督作品「灯火」を見た。素晴らしすぎて驚いた。輝きが沢山詰まっていた。弱者に共感する俳優としての能力が、監督としても遺憾なく発揮されていた。志の高さが隅々まで行き渡っていた。カメラワーク、場面の切りとり、ロケーション、台詞、ズラシかた、何から何まで好みだった。(松枝佳紀さん)

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