池松さんについてのエピソードや評

作品に対して誠実に向き合っているところは尊敬します。池松くんの誠実さを横で見ていて、背筋が伸びる感覚に何度もなりました。最近の現場ではなかなか感じることのない雰囲気ですよ。あとは、バランス感覚がとてもいいと思います。俳優には必ず必要な能力で、ちょっとでもずれてしまうと作品を壊してしまうんですよね。池松くんは芝居におけるバランスを、ミリ単位で調整できる。なので、俳優同士で向かい合った時にいろんなことを試せますし、監督と俳優で対峙した時もミリ単位のニュアンスをお願いすることができます。今回も、池松くんに対してダメ出しはほぼなかったと思います。『もう少し、こうしてください』もなかった。それくらいきちんと台本を読み込み、細かいところまで理解して、現場では絶妙なバランスで演じてくれる俳優だと思います。/オダギリジョーさん



(池松氏を一言で表現すると?)ひと言でまとめるなら“絶滅危惧種”ですね。ほかでもいろんなところで話しているんですけど、池松くんは現場にスマホも台本も持ち込まないんですよ。作品に対する挑み方や姿勢が、ほかの若手とはまったく違っていて、上の世代の俳優たちが池松くんのような若者を見たらそりゃあ大切にしたくなりますよ。/オダギリジョーさん



池松、お前はすばらしい役者だし、素晴らしい役者以前にいい人間だ。おかげで一緒に楽しいドラマが撮れたし、今度はまた新しい作品で、緊迫した感じの作品でも共演したい。/ヤン・イクチュンさん



オーディションに来てくれた時、すごくよかったんです。50年前の仮面ライダーとは、池松くんがやるんだったら違う本郷猛になってくれるんじゃないかと。僕の中では藤岡弘、さんが演じた本郷猛のイメージがものすごく強くて、これを踏襲しても自分では消化できないと思った。別のキャラクターとしての本郷猛を作らざるを得ない時に、池松さんはイメージ的にいいなと思いました。/庵野秀明監督



カメラが回っていないところで座長として引っ張ってくれている。自分のアバターのような存在。/石井裕也監督



頭の画をどうしようか悩んでいた時に、池松君から真利子印みたいなことを何かやれないですか?と言われたんです。そこで出したアイデアがあれだったんですよ。漫画には無いシーンですけど、象徴的に1 個入れてそこから全体が進んで行くようにしました。/真利子哲也監督

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池松さんは寡黙で、一見話し掛けづらいのかなと思っていたのですが、役の話や、たわいない話もしました。最終的には、池松さんが突っ込まれ役で、みんなからいじり倒されていて、皆さん仲が良かったです。/綾瀬はるかさん



池松さんはどちらかと言うと、制作側、チームの一員というタイプの人。まだ30歳だが、落ち着いていて、若年寄みたいな面もある。ふだんから、この番組で話しているような感じでいろんなことを考えている。/淵邉恵美プロデューサー

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池松壮亮という俳優をスクリーン上で長い期間にわたり観てきた。あらゆるバリエーションを演じてきた彼だが、芯の部分には同じ炎が燃えていると、常に思わされる。

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かつて、名人、と形容したことがある。
池松壮亮の演技の手懐け方は、もはや古典落語を操る名人噺家のそれに匹敵するから、である。
音楽で言うなら、その超絶技巧は、ジミ・ヘンドリックスのギター奏法を想起させもする。とにかく、吸引力の魔がすごい。

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精密さは変わっていない。私たちの脳を振り向かせる吸引力にはやはり魔が存在している。だが、もっと、大鉈を振るうようになった。野球で言うところの「振りかぶって」という実況中継的表現が相応しいように思うが、大上段から叩き下ろす、鉈の刃の大胆さが、今の池松壮亮にはある。

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映画を主戦場とする池松は、バラエティー番組などに出ることが少なく、そのパブリックイメージは役によるものが大きい。パーソナリティーはあまり知られていない。口べたなのではという印象さえ受ける。しかし、映画の舞台あいさつやインタビューではそのワードセンスで、聞き手を楽しませてくれる。思わずメモを忘れて聞き入ってしまったことが何度かある。

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“海外進出”ではなく端的にグローバルに活躍する彼の動きは、コロナ禍で分断が加速化する今、多くの人にとって一つの指針となる生き方なのかもしれない。

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