池松さんのコメント集


福本清三さんをしのぶ

「若い頃、たくさん遊んでもらい、その背中で沢山のことを教えてくれました。最高にかっこいい人でした。生き方が、手や皺(しわ)が、大好きでした。清三さん、また会いたかったです。どうか、安らかにお眠り下さい」

池松壮亮、福本清三さんしのぶ「最高にかっこいい人でした」



「海辺の彼女たち」コメント

暗闇から、音が聞こえる。
音が静かに暗い冬の街に溶けてゆく。
波の音、風の音、ストーブの音、
異国からやってきて、迷うまいと彷徨う女性達の雪を鳴らす足音、彼女たちの吐息。
音が、世界の一部となって溶けてゆく。
この世界に形を変えて残り続ける格差という奴隷制度。
彼女たちは労働者ではない、ただ生きている。海辺の彼女たちは、それぞれが人生の少ない選択肢の中から最善を選んで日本で暮らしている。この同じ空の下で長い間放置される現実に、胸がはち切れそうになる。
事実とリアリズムに徹しきり、硬い意志をもった意義深いこの作品を世に送り出す監督スタッフ、そして海辺の彼女たちに、心からの拍手と祝福を贈りたい。



「茜色に焼かれる」コメント

人類の終末感に相応しい美しい夕焼けと、生き延びてきた自己の物語。
どんなに世界に傷つけられても田中良子は生きている。
その魂の咆哮に、涙が止まらなかった。
身一つで請け負う女性のその圧倒的な姿は、夕焼けよりも美しい。



平野啓一郎「本心」コメント

私たちの存在価値と欲望は、これから何処へ向かうのか。コロナ後の世界、並外れた傑作



レ・ロマネスクTOBI「七面鳥山父子山」コメント

変わり者の父と子の人生を288ページで駆け抜けるのだからそりゃあ泣き笑い忙しい。ましてやこの国の戦後から今に至るまでが背景に見えてその上パリまで出てくるのだからその壮大な奥行きがまた忙しい。戦後の更地に産まれ、貧困や悲しみを背負いながらも僕たちを必死に育ててくれた、命や愛情や意志や、いくつもの負の遺産を繋いでくれた日本の親父達にはきっと、フミャアキの様に外面の美学があった。その事を、この本と一緒に大切に本棚に仕舞っておきたい。



「由宇子の天秤」コメント

無知や無関心を煽る社会システムと、暴徒化する知性と正義感との間に、
由宇子の心の天秤はゆれている。
倫理や道徳に揺さぶられながら、バランスを保とうと必死にゆれている。
細部まで心と魂のこもった
極めて非凡な作品に出会った。




出演作品


「あなたのそばで明日が笑う」

このドラマが、見てくださった方々にとって、この国で10年前に起こった災いの記憶を、そして今世界で起きていることを見つめ直し、再生に向かう一歩となることを願っています。
もっと願わくば、この世に数多ある同時代の無念の魂に寄り添い、共に笑い、共に怒り、共に涙を流し、共に生きてゆく微々たる力になれば嬉しいです。



「アジアの天使」

この映画に登場する天使は、アジアの天使という言葉の本来持ついびつさと同様に、古くから西洋的なシンボルとして受け入れられ広く浸透した、今やその形を誰も疑うことのない天使のそれとは程遠く、変な姿をしています。
そしてこの映画で描かれる登場人物たちもまた、それぞれが過去に囚われ、損失を抱えており、脆く、不完全で、へんてこな人生を歩んでいます。彼らに訪れる奇跡は、インスタ映えするような美しいものじゃないのかもしれない。西洋のように眩しい光が訪れるわけじゃないのかもしれない。それでも彼らは、何かを信じ、誰かを想う強い力を持っている。
あなたは信じないだろうけど、白人でもなく、黒人でもなく、西洋史にのらない私たちアジアの天使に、もし本当に会えたならば。そしてそんな奇跡を、誰かが共に信じてくれて、共に生きてゆくことができるならば。
その時私たちは、囚われていた価値を脱ぎ捨て、希望を得て、新しい時代を共に切り拓いてゆけるのではないかと、思っています。



「オリバーな犬」

忘れられない年となった昨年末に、リスクを減らしつつもフィジカルに、お祭りのように撮影しました。
オダギリさんの生み出す可笑しな世界に魅了され、嫌なことやウンザリすることだらけの世の中から逃れ、この可笑しな世界にのめり込みました。
可笑しさとは時に、人生において大きな支えとなります。
困難に打ち勝つための力を秘めていて、そこにはパンクな要素があります。
可笑しくて自由でパンクで優しいオリバーな犬、
ご期待下さい!



「ちょっと思い出しただけ」

決定的に戻れないあの頃、コロナ以前からの 6 年間を描いたラブストーリーです。あの頃を成仏する映画や、あの頃を慈しむ映画は時代の変わり⽬には沢⼭作られるものですが、今と過去を同時にすくいとろうというこの作品の⼼意気にとても共感しました。
思い出せないことと、忘れられないこととが、⼈⽣そのものをかたどっているように思います。過去にしがみつくではなく、過去を無かったことにするではなく、全ての地続きに今があると信じています。あらゆる⼈の⼈⽣の過去が、その⼈の⼈⽣にあったことを感謝出来ますように。過去と今が、無かったことになりませんように。昔の気持ちを思い出して、⾊々あったけど今はもう⼤丈夫。でも、ちょっと思い出しただけ。そんな私たち⾃⾝についての映画になってくれることを願っています。



「シン・仮面ライダー」

まさか仮面ライダーになる日が来るとは思っていませんでした。
庵野さんは、日本の宝物のような人だと思っています。
今回共に、仮面ライダーを復活させるという素晴らしい挑戦と機会をいただき、とても光栄に思っています。
大きな変化の時を迎えるこの世界で、人が、自分自身の探求を恐れず、厳かな自然界への敬意を忘れず、新しい世界へと飛び込み、困難を克服し、新たなステージへと変化すること。変身してゆくこと。そのことを、シン・仮面ライダーを通して体現してこれたらと思っています。
撮影はこれからですが、この世界の再生には仮面ライダーが必要だと信じて、どんな困難が待ち受けていようと、最後まで、地球のために闘ってきます。
2023年公開、御期待下さい。


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