池松さん評


「無伴奏」池松さんの退廃的な表情に、演技の自在ぶりを感じた。(ジャ・ジャンクー監督)

池松さんが素晴らしいのは、表情が変わる俳優さんはたくさんいますが、顔が変わるんです。表情を変えるなんてことは、どこかに演出があるのかもしれませんが、顔が変わるというのは本当に凄いことなんです。(無伴奏/矢崎仁司監督)

人が部屋に入ってくると風が入るんです。でも、みんな幽霊が入ってきてセリフを喋っているような感じにしかならない。なぜ空気が動かないのかなと思うんです。でも、池松さんは外だろうが中だろうが、空気が動く。(無伴奏/矢崎仁司監督)

池松さんには本当に助けてもらいました。僕がまっしぐらになってしまうところを、むしろ監督の目で作品を見てくれているような。ポール・ニューマンが、あるインタビューで役をどう演じるかという質問に対して、「演じるときは監督のように考えて、監督するときは俳優のように」と言っていたのですが、池松さんはまさにそう。池松さんも斎藤さんもご自分で監督なさっているから、そういうところはよく分かるというか。一緒に映画を作っている感じでしたね。本当に助けられました。(無伴奏/矢崎仁司監督)

池松さんには、未来を感じたというか…。
すべての作品見ましたけど、作品に取り組む姿勢にすばらしいものを感じたので、一緒に物が作りたいと思いましたし、学者の息子ということで、その先を生きる若者像としてキラキラ光った人物像を描きたいなと思ってお願いしました。(シェル・コレクター/坪田義史監督)
矢崎仁司監督とも話しましたが、池松壮亮さんは日本映画を助けてくれる、映画を豊かなものにしてくれるひとだと思います。作品との関わり方が誠実です。池松さんの存在で、商業とアートをつなぐことができるのだなと思っています。(シェル・コレクター/坪田義史監督)

僕ね、『MOZU』で池松が演じていたあの役がすごく好きなの。ハチャメチャで、死んだかと思いきや死なないリアリズムを超えた役を、妙な説得力をもって演じていたんだよね。(だれかの木琴/東陽一監督)

海斗が家に帰ると、家の前にワンピースがぶら下がっているというシーンがあるんですけど、池松はそこでのリアクションを、段取り、テスト、本番と1回ごとに変えてきた。毎回、それまでと違うことをするんです。何回やっても同じことをできる俳優もいるし、そういう俳優が悪いわけじゃない。でもそうじゃなく、池松壮亮という男がそこにいて、たまたま俳優やってる。そんな感じなんですよ。だから、少し条件が違えば毎回、リアクションが反射的に変わってくる。面白い俳優だなって思いますよ。(だれかの木琴/東陽一監督)

彼は“やらない”よね(笑)。あの温度の低さは、年齢からくるものなのか、企みがあってやっているのか……。現場で見てみたいという気持ちがあったんです。結局は解明できなかったけれど、非常に良かった。色っぽかったよね。あの年であの影が出せるのは、計算を超えた天然のものなんだろうね。(海よりもまだ深く/是枝裕和監督)

決して自分の生理を超えて声を張ったりということは一切しないから、録音部がいつも首をひねっている。僕はそれでいいと思う。カメラに向かって芝居をしようとか、こざかしい事を一切しないから、芝居に嘘がない。(海よりもまだ深く/是枝裕和監督)

時代を象徴する俳優っているじゃないですか。僕らの世代であれば、永瀬正敏であり、浅野忠信。30代の監督にとっては、池松くんなんでしょうね。そこに割り込んでみようかな。50代の僕がこれだけ刺激を受けるんですから、相性は悪くないはず。ぜひまた一緒にやりたい。(海よりもまだ深く/是枝裕和監督)

観客に対し主人公をどういう男として捉えていくべきか的確にサポートしてくれる。作品の解釈能力が高いんでしょうね。(永い言い訳/西川美和監督)

池松さんの役は、本当はもう少し年上を想定していたのですが、是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』を観て、この人のキャッチアップ能力は抜群だなと舌を巻いて、今回の役をお願いしたんです。若いけれど、幸夫のことを静かに見透かしている担当編集者。良かったです、またご一緒したい俳優さんです。(永い言い訳/西川美和監督)

※是枝監督と西川監督が「渋谷のラジオ」で池松さんについて語ったエピソードの書き起こし

特に、菅原に関しては僕そのものだから、僕のこと事をよく分かってくれて、僕、個人の価値観に共鳴してくれる役者さんじゃないと演じられないなと思って、池松君に託しました。オリジナル作品ですし、どうしても一番信頼している俳優である池松君にお願いしたかったんです。(裏切りの街/三浦大輔監督)

彼はコメディーセンスもあって、今回はそれを生かしつつ、ダメだけど憎めない人間を演じてくれました。そのさじ加減や、作品で自分が求められていることを把握する能力はいつも凄いなと思います。(裏切りの街/三浦大輔監督)

池松くんは、自分がどう目立とうとか、どういたいというのではなく、作品中心に動いてくれる人。作り手にとっては、いっしょに作品を作っている感覚でいられるので、心強いですし、役がなくても、池松くんに当てはめた役を作りたくなります。(裏切りの街/三浦大輔監督)

『どんな役でもやる』みたいな腹のくくり方を、あの年にしてできるのがすごいと思います。しかも、私の演技を受け入れた上で、的確な球を返すところが職人級ですよね。『器用』というよりは『確実』といった感じ。熱がなさそうに見えても、内に秘めている熱がきちんと伝わってくるから、私もそれを理解して演じられます。こういう演技を久々にできたのが、すごくうれしかったです。(寺島しのぶさん)

池松くんの出演作を観ると、“人生2周目”みたいな表情をいつもしているし、僕のデビュー作「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八さんが監督した「紙の月」を観た時も、なんでこんなにいい芝居ができるんだ?と思って。でも今回、普段は寡黙な池松くんが撮影後の飲み会で熱く語ってくれたのは嬉しかった。あと撮影の合間に、紫苑役の菅田くんと池松くんが、共演作「セトウツミ」のように話をしている姿を、プライベートで見られてよかったですね(笑)(東出昌大さん)

(デスノートの打ち上げの帰り道で「池松壮亮を絶対超えたい!」と叫んでいたと言われて)デスノートは、そうなんですよね。なんか1個、火が点いたポイントで。あれはねぇ、やっぱりそうなりましたよ。その池松君と、『ディストラクション・ベイビーズ』の柳楽君との出会いが…今、ありがたいことにやりたいことをやれている、でもそんな幸せなことばっかりじゃないというか。で、目の前に、池松君とか柳楽君のようなアツイ人達がいるから、もうどうやったって満足出来ないし、自然とそう思わせてくれる人達がいるっていうのは、本当に嬉しいことですね。(菅田将暉さん)

渉役を演じた池松(壮亮)君は、やっぱりパワーがありました。何か根っこのほうにあるパワーだったり、才能がグツグツしている感じです。映画俳優なんだなと思わされました。そこに多くの映画ファンが揺さぶられているんだろうなと。(斎藤工さん)

『無伴奏』で共演した池松壮亮くんは日本大学藝術学部映画学科監督コースに通って映像を作りながら役者もされていたのですが、実はそういった役者さんは若い世代に増えていて、誰もメジャー大作出演をゴールにしていないというか。(斎藤工さん)

池松壮亮くんや村上虹郎くんのような若い世代の俳優は、すでに自分からアクションを起こしていて、これまでの評価軸を入れ替えようとしています。(斎藤工さん)

相手役の池松さんがすごく信頼できる人で、ストレスもなく、自然に演じることができました。いつでも自分のペースを崩さない人で、ほんとうに落ち着いているんですよ。それに比べて、私は結構ジタバタしてて(笑)だからすごく頼っていた部分がありますね。「ちょっと聞いてよ」とか言って、池松くんに色々聞いてもらってました。たぶん現場で、一番心を開いていたと思います。(成海璃子さん)

池松くんが「大変だったね、今のところ。でも絶対謝らなくていいんだからね」って言ってくれたんですね。「誰が悪いとかじゃないけど、エマがそこで涙流せなくてテイク重ねたからって謝るなよ」って。/池松くんは「そのくらいの気持ちで、どんなふうにかましてくれてもいいし、どんなに失敗してもいいから自分の思ったようにやってほしい」っておっしゃって。(遠藤新菜さん)

はっきり言葉で「大丈夫だよ、落ち着いていいんだよ」とかって言われちゃうと逆に緊張しちゃうじゃないですか(笑)。だから、池松くんは、そういう言葉を選ばないでなんか…「好きな食べ物は?」とか(笑)変な話、「え?それ?!」みたいなことを言ってくれるんですけど、でもそれで私の緊張が溶けるじゃないですか。そういうものを持っているというか。(遠藤新菜さん)

「無伴奏」撮影エピソードのある遠藤さんインタビュー

池松君は今回初めてお会いしましたが、なんともナチュラルな芝居をする青年で、とても刺激を受けました。(小市慢太郎さん)

今回「深夜食堂」で共演した池松壮亮くんはオモシロイね。先日、お亡くなりになった平幹二朗さんのような“芝居感”があるわけではなく、松田優作さんのような“スター感”があるわけでもないんだけど、フラットな演技ができるんだよね。すごくよい意味で進歩してるんだと思うけど、芝居の気配をまったく感じさせないというか。生理的なものを優先させる感じかな。そういう意味では“スゴイな”って思いますけどね、若い人たち。(小林薫さん)

(撮影中は面白い芝居するなあと思っていたが)出来上がった映画を観た時にすごい俳優なんだなあと思ってね。どういう感覚で普段暮らしているのかなと。自分の中ですごく新しい、いなかったタイプの役者さんですね。(阿部寛さん)

“頭を使う演技”と“力を抜く演技”のバランスを自然に身につけている彼は、賢さとしたたかさを持つ優れた役者だと感じました。(本木雅弘さん)

池松さんが『本番で100%の力でやると暑苦しいから、80%を目指します。もっと言うと、テストの感じに戻れるのが理想』と言っていて、大人だなぁと(笑)。自分は古い時代の役者なので、100%どころか、120%込めなきゃ何も焼き付かないって教えられてきたし、気負ってないフリして、気負ってなきゃダメだって思ってる自分がいたんですよね。池松さんは、どこでどうチューニングしていまに至ってるのか…? 今回のような冷静な役だけでなく『セトウツミ』とか、少しだけハジケるようなところがある役でもそうなんですよね。一見、低温で脱力だけど、ちゃんとメリハリを感じる。それはデビューが『ラストサムライ』だからなのか…(笑)。すごいなと思います。(本木雅弘さん)

出番が多い訳ではなかったけど、すごい存在感でしたね。見終わった後も池松さんが印象に残っていました。あんな風に、目を引く、雰囲気を持った俳優になりたい。(北村匠海さん)

(今の活躍に)驚かないよ。当時から素晴らしい演技をしていたからね。/とても重要な役だったが完璧だった。ラッシュを観たときはとても感動したよ。君を本当に誇りに思う。(トム・クルーズさん)

実際に、若手実力派のオールスターキャスト状態ですよね、はっきり言って。池松壮亮さんの使い方とか、めっちゃ贅沢じゃないですか。でも、あんなチョロっと出るだけでも、いいですよね。やっぱりね。(ライムスター宇多丸さん)

こういう、ちょっと影があって何するかわからない役やらせたら日本一かもしれない(天野ひろゆきさん)

こいつは化け物ですよ。何者かわからないすごさっていうのがある。彼はきっと映画界をこれから支えて行くんじゃないかと思いますね。(笑福亭鶴瓶さん)

出会えてよかったと思える役者さん。役の感情以上のことはしないという品のよさがある。自分が監督をするときは出演してもらいたい。(宮沢りえさん)

今の映画を観る喜びは池松壮亮を観る喜びでもある。出演作品が多すぎるとの意見もあるが、彼の存在でいかに映画が潤いのあるものになっていることだろう。彼は探求心が旺盛である。能楽でいうシテでありワキでもある彼には、加齢とともに頽廃の雰囲気を醸し出し、ぜひとも森雅之のような俳優になってもらいたい。(渡部実さん)

…そんななか、池松壮亮は見事だ。その作品の選び方、取り組み方、俳優としての気概、生き方を感じさせる。決して派手ではないものの、確かなオーラ、男の色気を感じさせるのだ。うまく歳を重ねれば、日本を代表する役者に成長するだろう。(塩田時敏さん)

芯のある演技と色気を惜しみなく発揮し、若者の映画にエロスを復権させているかのような池松壮亮。(中西愛子さん)

池松壮亮は実態を掴ませないミステリアスな雰囲気と、20代らしからぬ色気が魅力。あれこれ付け足さず、むしろ引き算で芝居をする覚悟が色気に通じているのかもしれない。(須永貴子さん)

台本を読み込み、頭で考えて作り上げた芝居を披露するという形ではなく、役柄として現場に入り、その場の感情や反応を大事にして、生々しさを優先する形。松ケンと池松クンのアプローチはそれぞれですが、似てるなあと思ったところです。(佐藤貴博プロデューサー)

映画『桐島』の翌年、吉田大八監督が脚本演出した舞台『ぬるい毒』に、吉田監督の熱いオファーを受けた池松くんが出演していて、観劇後、少し会話もしました。とんでもなく恐ろしい役でした。普通の青年なんですが、とてつもない悪意を持った男を彼が、淡々と、しかし全く底の見えない恐ろしさを隠し持ちながら演じていた。その舞台の主演は私や信介監督の『GANTZ』で一緒だった夏菜ちゃん。少年のように人懐っこい女性なんですが、彼女が壊れてしまうくらいに完璧に陥れていました。観ているこちらも弄ばれているような感覚になってしまって、完全に池松くんに精神を蹂躙されてしまった(笑)。そして、舞台上の池松くんはとてつもなくセクシー。なんて恐ろしい役者だと思いました。(佐藤貴博プロデューサー)

映画『桐島』から仲良くさせてもらっている橋本愛ちゃんに『ぬるい毒』の池松くんにやられてしまった話をしたら、「佐藤さん、今さら何を言ってるんですか!」と怒られてしまって(笑)。2人は『大人ドロップ』で共演していますが、「あの人のようなセクシーな役者は、なかなかいない」と絶賛していました。(佐藤貴博プロデューサー)

いい男を前にしちゃうと、女に生まれれば良かったって思うんだよね。池松君が女だったらとは思わなくて、俺がいい女になりたいって思うの。(略)いい女になりたい、いい女になって何でもやってあげる。池松君の足の指の爪切ってあげたい。殺人の追憶でソン・ガンホが嫁に足の指の爪切らせるじゃないですか。あれやりたい!(峯田和伸さん)
あの、僕が思う池松君の好きなポイントを話してもいいですか?10年前と比べて、映画とかドラマっていう産業や娯楽っていうんですか?そういうものの立ち位置が変わってきてるじゃないですか。若い人にとってみればいろんな娯楽があるわけだけど、その中で映画とかドラマが今どういうポジションであるべきか、俺はなんでここにいるのかっていうのを池松君はちゃんと考えてる。仕事としては役者なんだけど、でも背負ってやってるのが分かるんですよ。それが大したもんだなと思う。そこに疑いを持たない人もいると思うんですよ。でも池松君は2016年における映画という場所にどう居たらいいんだろうとか、どういう姿勢で演じたらいいんだろうっていうのを考えて、凄く闘っている気がして。そこが僕は好きなんですよね。こういう人がいるっていうのが知れただけで僕は安心してる。しかも年下で。(峯田和伸さん)

俳優って、エンジンというか固有の排気量みたいなのがある気がしていて、池松君はそれが大きいんだと思います。アクセルのちょっとした踏み加減で、走りに幅が出る。そして、これは僕の印象ですが、まだ余裕のない人はアクセルをベタ踏みにするか全く踏まないかのどちらか。キレる芝居ならずっと絶叫し続ける、逆に抑える芝居では引きっぱなし、というように。でも彼はその間の踏み方、グラデーションもナチュラルに出せる。それは恐らく、生まれ持った素質なのかもしれないですね。結果的に、芝居をしている感じを上手く消す余裕を持つことも可能になる。(吉田大八監督)

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