平成から令和へと時代は変われど、人間の尊厳を描いた作品で、全く色褪せない。
(宮本から君へ/blu-ray&DVD発売)
たとえノーギャラでも参加したいと思える作品でした。「命を奪うことに慣れることはない」千松さんの自然界との向き合い方に心から感動しました。僕は30年前に生まれ、肉や魚、水や木々や種を、つまり生きとし生けるものの命を何不自由なく貰って生きてきました。そこに責任や罪の意識は、親や先祖のおかげで何一つ無かったと言えます。環境問題やアニマルライツ、様々な問題が浮き彫りになるこの世界で、今このドキュメントを届けたいと、切に思います。
(
映画「僕は猟師になった」)
亡き人を想う眼差しの先にある残像と、
いくつもの痛い日々を越えてきた切実な祈りは、
コロナに掻き消されるわけがない。
(
松居大悟「またね家族」)
いつからか真実を見失った者達が、国を超え、こびりついた価値を捨て、互いを見つめ、痛みに共感し、共に旅をして、共に生まれ変わるまでについての映画です。 脚本を渡された時、震えました。 来たる新しい時代の夜明けの前に、それぞれの後悔の日々と、二度と戻らない時間を取り返しにいくこの映画の挑戦にかけてみようと思いました。 石井監督とはこれまで沢山の仕事を共にしてきましたが、そのあくなき探究心と、他者の心を想う映画作家としての力は、やはり圧倒的です。 世界が新たなステージの分断に乗り出しつつある今、誰が何と言おうとこの映画で出会い、受け入れてくれたチェヒソさんをはじめとする素晴らしい韓国キャストの方々、愛情深い韓国スタッフの方々には感謝してもしきれません。 この映画の天使がきっと、良き時代の到来を告げてくれると信じています。
(
映画「アジアの天使」)
映画というイデオロギーをもって石井裕也は訴え続ける。
答えなくして生きる力を。
(
石井裕也「映画演出・個人的研究課題」)
※本書の解説「戦うものが発する言葉」も執筆
家族の風景をご覧頂いた皆様、ありがとうございました。
佐近、佐藤さん、大変ご無沙汰しております。
大学4年時の卒業制作として作り上げたこの作品が、
またこうして人の目に触れる機会を頂けた事を、とても嬉しく思っております。
当時、同級生だった佐近に頼まれ、軽い気持ちでこの役を引き受けたものの、
佐近の実家で同じ同級生のスタッフ達と合宿するはめになり、
寝る間もなくボロボロになって作り上げた日々を、懐かしく思います。
あの頃の見返りのない、泥だらけの、キラキラとした美しい日々は、
今思えば本当に贅沢なものだったなと思います。
知り合いの映画監督がこんなことを言っていました。
「卒業制作とは、世界に対する1番最初の所信表明で、誰から頼まれたわけでもなく
若者が若者なりに、世界へ向けて叫ぶこと」だと。
SNSとはまるで重みが違います。
いわば卒業制作とは、高校野球夏の甲子園のようなものです。
お金さえあれば、ある程度のキャストを揃えさえすれば、
誰でもそこそこの映画を撮れる時代において、
プロよりも崇高な切実さやきらめきがそこにはあるのかもしれません。
にも関わらず、卒業制作映画とは、圧倒的弱者です。
ぬるま湯に浸かったプロたちや、評論家まがいの素人に、
上から横からトンチンカンな感想をこれでもかと浴びせられます。
当事者自身が大目に見てほしいなどとぬるい事を言うつもりは毛頭ありませんが、
あれから数年経った僕自身は、学生だけで作り上げたこの作品を、
今ではとてもじゃないけど真似できないものとして、とても誇りに思っています。
そしてあの時、そんな弱者達の闘いに、何ひとつ文句を言わず、
温かく僕達を見守りプロとしてそこに加担してくれた佐藤さん、
父親役の中島さんには、心から感謝しています。
卒業制作が、のちにみてもらえる機会を頂けるということは、実は極めて稀な事です。
本日、この作品をみて頂けた事、心から感謝致します。
最後に、唯一プロとして活動する同級生の佐近が、新作映画を作り上げたということで、
今からとても楽しみにしています。
(短編映画「家族の風景」配信時の手紙)
9年前、20歳の時にあの日を迎えました。それからまもなく10年が経つことに、時の流れの早さを感じています。今回、俳優として向き合う機会と御縁を頂きました。当事者と非当事者の絶対に超えられない壁を、それでも超えられないものか、超えられなくともどう寄り添い共に生きてゆけるのか、考え続ける最中でこの作品に巡り合えたような気がします。心を込めて、あの場所と向き合うと共に、理解しようとする意志と力を信じて、雲の上ではなく、人と人の心と心の間にもしかしたら宿るかもしれない神様を、綾瀬さんと共に、このチームと共に探してきたいと思います。そして願わくば、物語の力を信じて、この世に数多ある無念の魂に寄り添い、共に笑い、共に怒り、共に涙を流すことが出来るドラマになればなと思います。
(
ドラマ「あなたのそばで明日が笑う」)
未だ苦難を強いられる日々に、心斎橋PARCOが新しい日々のはじまりを掲げてオープンを迎えるということに、勇気と希望を感じます。
訪れる人も、迎える人も、自分自身も「Re:BIRTH!」出来ることを願って、この企画に賛同させていただきました。
どんなトンネルにも必ず出口があって、光がさし、人は何度でも「Re:BIRTH!」出来る。同調し、協力しあうことが出来る意志と知性を武器に、新しい日々がはじまることを、PARCOと共に自ら選んでいきたいと思いました。
(
心斎橋PARCOオープン)
主人公がなまはげの中で叫んでいる。
俺は誰だ、どこから来て、どこへ行くんだ。
優れた映画は真実の感情を奮起させる。
時に魂をどこに忘れてきたのか問いかけてくる。
ままならなさ、いたらなさ、不甲斐なさ、
人生という永遠に不完全なものを
必死に崇拝しようとする優しい企て。
苦難の年の最後に、切実な映画を観た。
あなたは今ここで、生きている。
ありがとう。おめでとう。
(
映画「泣く子はいねえが」)
小栗さん、主演男優賞、本当におめでとうございます。直接お祝いの言葉を伝えられないことがとても残念です。小栗さんの、過去と今を静かに受けとめてゆくたたずまいが印象に残り、時代の転換期に、小栗さんが覚悟をもって役に取り組まれたことが深く伝わりました。実はいまだ小栗さんとは共演経験がありません。いつの日か、手をつなぎ、共に同じ物語を信じることが出来ることを楽しみに、僕もまだまだ精進していきたいと思います。このたびは心から、おめでとうございました!
(
日刊スポーツ映画大賞主演男優賞小栗旬さんへ)